第2章 特許情報の調査
特許情報ってどんなもの?
最先端技術の開発指標
特許は先願主義を採用しているので、企業、大学、研究所などで研究開発された最新技術は、特許明細書にまとめられ、いち早く特許庁に出願されます。特許出願の内容は、出願日から1年6ヶ月を経過すると公開特許公報に掲載され、一般に公開されますから、これらの公報を見るだけで、最新の技術動向をすばやく把握することができます。
豊富な技術内容
特許出願に添付される明細書の詳細な説明には、実施可能な程度まで技術内容を記載することが義務づけられていますから、特許情報にアクセスするだけでいろいろな技術に付いてのノウハウを知ることができます。
権利情報としての側面
特許庁における審査を経て発行される特許公報には、特許権という独占権の認められる範囲を示した権利書としての機能があります。また、特許出願が公開特許公報に掲載されることにより、公開による補償金請求権が生じつとともに、将来審査によって特許権が認められる可能性のある技術についての予測が可能になります。
世界共通の記載形式
世界的に標準化されたフロントページ(書誌事項、要約および代表図面)、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面が、記載されています。このため、外国で発行された特許情報であっても、その内容を容易に理解することができます。また、国際的に統一された国際特許分類(IPC)が付与されているので、世界の特許情報の中から、必要な技術情報を簡単かつ網羅的に抽出することができます。
検索しやすい情報体系
発明の名称、出願人、出願日等の書誌情報が豊富に記載されているので、これらを利用して必要な情報を抽出整理することができます。特に公報類の電子化にともない検索機能が飛躍的に向上しています。また、特許庁から発行された一時情報以外に、抄録や索引類などの二次、三次情報も豊富に用意されており、情報が系統立てられて蓄積されているので、かこにさかのぼった調査を容易に行うことができます。
特許情報の種類
特許公報、実用新案公報
特許庁における審査で拒絶の理由が発見されなかった出願の内容を編さんして発行したもので、権利情報としての性格も有しています。
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公開特許公報
特許出願の書誌事項、明細書(全文)、図面、要約書などの内容を公開した公報です。昭和45年の公開制度導入以後は、一部例外を除いて出願日から1年6ヶ月経過後に公開公報が発行されます。平成5年1月からはCD-ROM公報として発行されています。
公表特許公報、公表実用新案公報
特許協力条約(PCT)に基づく出願の内容を日本語で公表した公報です。国際調査報告の情報なども掲載されています。なお、特許協力条約に基づいて国際公開された日本語特許出願の場合は「再公表特許」といいます。
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登録実用新案公報
平成6年1月1日施行の実用新案法に基づき無審査で、実用新案登録された考案の公報です。実用新案権の設定登録後に発行されます。権利情報としての機能もありますが、無審査なので権利情報としての確実性はありません。
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公開実用新案公報
出願内容のうち、書誌事項、明細書の要部(請求の範囲、図面の説明)、図面、要約書などの内容を公開した公報です。
昭和45年の公開制度導入により発行が開始されました。
意匠公報
特許庁における審査で拒絶の理由が発見されなかった意匠出願の内容を編纂して発行したもので、権利情報としての性格も有しています。
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商法公報
商標の審査においても平成9年4月より付与後異議制度が導入されたため、広告公報の発行はなくなりました。
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公開実用新案全文明細書
実用登録願に添付された明細書全文および図面の内容をマイクロフィルムまたはCD−ROM媒体に記録したものです。
実用新案の一次情報は要部公開なので、出願内容の詳細を調べるにはこの二次情報にアクセスする必要があります。
公開技報
公開技報は、各企業等で研究開発された発明で必ずしも権利化する必要のないものを公開し、研究開発の重複やライバル企業の後願特許の成立を防止する目的で、昭和51年より(社)発明協会から発行されています。
特許公報の見方
特許候補のレイアウトは共通のフォーマットが決まっています。最初のページには、文献の種類、文献の刊行日といった書誌的事項と、その文献の技術内容の要約や代表図面といった技術的事項をコンパクトにまとめて掲載したフロントページがついています。
フロントページの次には、明細書の中身が掲載されています。明細書の記載形式は法律で定められていて、最初に特許の権利範囲を求めた「特許請求の範囲」の欄が、次に発明の内容を詳しく説明した「発明の詳細な説明」の欄と添付図面の符号などを説明した「図面の簡単な説明」の欄が掲載されています。
発明の内容を具体的に理解する上で最も役に立つのは実施例の記載と図面です。特許出願の明細書は権利範囲を広く設定するために抽象的な記載にとどまりがちですが、実施例については発明者らが実際に発明として完成したものを開示しているので、発明の把握が容易になります。図面については、化学系の出願のように掲載されていない場合もあります。
特許公報には、書誌的事項の項目の前に数字が付与されています。これはINIDコードと呼ばれる世界共通の識別番号で、外国語の公報であっても概ねの内容が把握できます。
| パテントファミリーを調べよう 発明が生まれると、ほかの国でも出願されることがあります。重要な発明ほどその傾向があり、これらの出願は相互に親子関係みたいなもので、パテントファミリーと呼ばれています。パテントファミリーを調べることで利用者に最も好みの言語で特許文献を読むことができます。 パテントファミリーの情報は、日本では(財)日本特許情報機構が窓口となってサービスをしています。 |
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特許分類
特許情報は、日本だけでも4000万件もあります。この膨大の情報の中から必要な情報を探し出すのに役立つのが技術内容に応じて付与される特許分類です。国際特許分類とそれをさらに細分化した日本独自の分類記号が使われています。
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国際特許分類
国際特許分類は、1968年に欧州地域で採用された第1版から始まり、現在では2000年1月に採用された第7版が使用されています。第7版は2002年12月までの3年間適用され、2003年からは第8版が発効する予定。
国際特許分類表は、各セクションごとに、特許庁のホームページから簡単にダウンロードすることができます。
国際特許分類の表記方法
国際特許分類は、セクション、クラス、サブクラス、メイングループ、サブグループへと順次階層的に細分化されています。
@セクション、サブセクション
セクションは、特許の対象である全技術を8つに大別したものであり、A〜Hのアルファベット大文字の表示記号で表されます。サブセクションには表示記号がありません。
Aクラス、サブクラス
クラスは、セクションを細分化したものであり、セクション記号に2つの数字をつけた表示記号で表されます。
サブクラスは、クラスを細分化したものであり、クラス記号にアルファベットの大文字1個をつけた表示記号で表されます。
Bグループ、サブグループ
グループは、サブクラスを細分化したものであり、メイングループとサブグループからなります。サブグループの
タイトルは、メイングループに含まれる事項の一部を抜き出した記載であり、ドット「・」はその階層を示しています。
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日本固有の分類
国際特許分類は、国際的に統一して利用されていますが、日本では独自に、識別記号、分冊識別記号などを作り技術分類をさらに細分化しています。
@識別記号
識別記号には、展開記号とファセット分類記号の2種類があり、展開記号が約11,100、ファセット分類記号が約400あります。
イ)展開記号
展開記号とは、IPCの最小単位であるグループをさらに細かく展開するために用いる3桁の数字からなる記号のことをいいます。展開記号にもグループと同様に階層を示すドットが付されており、IPCと連続した階層を持っています。
ロ)ファセット分類記号
ファセット分類記号とは、IPCの分類表の所定の範囲(例えば、サブクラスまたは複数のグループ範囲)にわたって、IPCの分類展開とは異なる観点から展開されている3個の英文字からなる記号です。
A 分冊識別記号
分冊識別記号は、IPCまたは展開記号をさらに細かく展開するために用いる記号で、「I」と「O」を除くA〜Zのアルファベット1文字を使用しています。
特許調査
特許情報を調査することによって、権利侵害のチェック、出願の事前調査、他者の技術開発動向の把握、重複研究の防止などができます。
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技術動向調査
対象となる技術分野における特許出願の技術内容を調べることにより、過去にどのような技術が開発されているかわかります。これによって、研究開発しようとしていた技術が既に開発されていた等の、研究の重複を回避することができます。また、関連技術の方向性、他社の研究開発体制、商品需要の予測などを伺い知ることができ、開発目標を設定する上で役立つ情報が得られます。
他社権利調査
自社製品が他社の特許権に抵触すると、製品の出荷指し止めや損害賠償事件に発展することになります。これを避けるために、商品の開発・出荷段階で同一または類似の技術を、他社が権利を有しているかを調べる必要があります。問題になりそうな特許権などがあった場合には、登録原簿の閲覧により権利状況調査を行います。その上で、代替技術の採用・採用、他者からの技術導入などを検討します。
公知例調査
自社にとって障害となりえる他社の特許を無効にするために、当がいとょっきょの出願前に公知となっている資料を調査します。審査官が発見できなかった特許文献のほかに、雑誌やカタログなどの資料も対象になります。
発見した資料は、審査終了前である場合には、情報提供という形で審査内容を提出し、権利化を未然に防ぎます。審査により特許審査がなされた以後は、異議申立期間内なら異議申立を、期間が過ぎているときには無効審判の請求を行います。
出願前(新規性)調査
特許出願時に、関連する技術分野の先行技術を調査し、すでに公知となっている発明であるかどうかを事前に調査します。また、出願後に審査請求を行う場合には、他人による同一技術の先願がなされているかどうかも調査します。このような調査を行うことにより、権利化される見込みのない発明に要する出願費用などの無駄な支出を軽減できます。
権利状況調査
登録された特許は、無効審査や料金の未納によって消滅します。また、権利が、第三者に移転したり実施権の設定がなされている場合もあります。これらの事実は特許庁の登録原簿に記載されていますから、自社製品と抵触しそうな特許の存在を知った場合には、電子出願端末機などで登録原簿の閲覧をします。
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