第1章 発明と特許
発明って何だろう?
特許法では、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」を「発明」と定義しています。ここては、この定義にそって「発明」をとらえていきましょう。
自然法則の利用
「自然法則」とは自然界において経験的に見出される科学的な法則をいいます。よって、ゲームルールなど自然法則と無関係なもの、万有引力の法則など自然法則自体は特許法では「発明」なりません。
技術的思想
絵画などの美術的創作物やデータベースは技術的思想に該当しないので、特許法上の「発明」になりません。
創作
「創作」とは、新しいことを作り出すことをいいますので、「発見」とは区別されます。例えば、エックス線の特性を発見したとしてもそれは発明にならず、それを利用したエックス線装置は特許をとることができます。
高度
発明は、自然法則を利用した技術的創作であっても、「高度」なものでなければなりません。遺伝子や電子計算機のように産業に大変革をもたらすものに限られるものではありません。
| 特許になる発明とは 「特許」とは、「特許法によって、特許権を与えること」をいうので、特許を受けるためには、特許法で定める「特許を受けることができる発明」の条件を満たす必要があります。 |
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産業として実施できるか
特許を受けることができる「発明」であるためには、産業として実施できなければなりません。学術的・実験的にしか利用できない発明は「産業の発達」を図るという特許の目的を達成できず、保護する価値がないからです。特許制度は、新しい技術を公開した者に対してその代償として一定の期間、一定の条件のもとに特許権という独占的な権利を付与し、他方、第三者に対してはこの公開された発明を利用する機会を与えるという機能を果たしています。このように権利を付与された者と、その権利の制約を受ける第三者との間に調和を求めつつ技術の進歩を図り、産業の発展に寄与していくのが特許制度なのです
新しいかどうか
特許を受けることができる「発明」は、今までにない「新しいもの」でなければなりません。すでに誰もが知っているような発明には特許権を与えることはできません。例えば、研究論文で発表されたもの、テレビで放映されているもの等については、「新しさ」がないとされ特許されません。
容易に考え出すことができないか
従来の技術を少し改良しただけの発明のように、簡単にできる発明については、特許を受けることができません。例えば、すでに知られている発明の寄せ集め等には特許を受けることができません。
先に出願されていないか
別々の人が同じ発明をし、同時期に特許出願をする場合がよくあります。この場合、わが国では、先に発明を完成させた者ではなく、先に出願したものに特許が与えられます。これは、いち早く発明を公開しようとした者を保護しようという特許制度の目的に沿っています。
反社会的な発明でないか
国家社会の一般的な道徳や倫理に反する発明や、国民の健康に害を与えるおそれのある発明は、たとえ産業として実施できたり、新しいものであったとしても、特許を受けることができないようになっています。 例えば、紙幣偽造機械などは特許が受けれません。
明細書の記載は規定どおりか
特許を受けるためには、具体的にどのような発明をしたのか、他人の人が呼んで理解できる程度に、発明の内容を明らかにする必要があります。発明の内容は教えられないが、権利だけは欲しいというのは認められません。また、特許を受けようとする発明について、権利を求める技術的な範囲を簡潔明瞭に定義する必要があります。
これらの要件を満たしていないと、出願書類の記載に不備があるものとして特許を受けることができません。これは、発明を公開したことに対する代償として与えられるという特許制度の趣旨に反することと、発明を正確に把握できなければ、特許の審査や権利侵害の有無の判断もできなくなるためです。
特許になる発明を見つけよう
ほら、そこにも発明があるよ
発明がどれほど身近に存在するものなのか、携帯電話を例にとって考えてみましょう。携帯電話は私たちにとって今やなくてはならないほど大変便利なものですが、いったいいくつの発明から構成されているのでしょうか。
大まかに区分しただけでも、アンテナ部に関する発明、入力操作部に関する発明、表示部に関する発明、電源部に関する発明、機能回路部に関する発明などがあるのです。
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広い概念で考えよう
たとえ具体的に採用した物質や方法が一つであっても、それが機能する本質を把握し、常に広い概念で発明を捉えることができるかどうか検討することがとても重要です。
言葉の意味に注意しよう
「A機構またはB機構を有する飛行機」と表現する場合と、「A機構およびB機構を有する飛行機」と表現する場合とでは、権利範囲にどのような違いが生じるか考えてみましょう。前者の場合はA機構かB機構のいずれか一方の機構を備えていれば権利範囲にふくまれることになりますが、後者の場合はA機構とB機構の両方の機構を有する飛行機の意味になるので、一方の機構だけを備えたものは権利範囲に含まれなくなってしまいます。このように、言葉の一つで権利の大きさが異なってくるので、注意が必要です。
| 公知技術の調査は入念に 情報源の違いや調査方法の違いによって結果が異なってくるなどの難しい面もあります。したがって、一つの調査方法で公知の技術ではないと判定されても、ほかの調査方法ですでに知られている技術であることが判明する場合もあるので、公知技術の調査は入念に行うことが大切です。 特許以外の道も考えよう 容易に考えられる発明と判断されて特許にならない可能性がある場合には、特許法における「発明」ほど技術的思想の創作性について高度性を要求されない「考案」として、実用新案法で権利を取ることを検討したり、「発明」や「考案」とは全く異なる概念である「デザイン」として、意匠法にて権利を取ることを検討するのが良いでしょう。 |
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