目次
●巻頭言
●特集:21世紀を人権の世紀へ
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●私のひとひねり
●クローズアップスクール
●教育改革コーナー
●県教委だより
巻頭言 子どもの食環境−失われていく「おふくろの味」に思う−
近年の社会環境、家庭環境は複雑に変化し、それに伴い個々人のライフスタイルが多様化し、日常の食生活のあり方も朝食欠食、外食、孤食、中食(ナカショク=弁当や惣菜などの持ち帰り調理済み食品)などが増加し大きく変わった。その結果、カルシウムや食物繊維の摂取不足、脂質や食塩の摂取過剰など偏った栄養摂取状況で肥満症や糖尿病などの生活習慣病が多発し、しかも若年齢化している現状である。家庭では母親(大人)が料理を作る姿を見ることも少なくなり、「おふくろの味(各家庭独特の味)」を知らない子どもが増えている。
ある若い世代のグループを対象に「おふくろの味」について調査を実施したところ、全然書けなかった子や中には「カップラーメン」と言った子もいてびっくりさせられた。「おふくろの味」をよく知っていたのは地方の子どもたち、特に沖縄の子どもは伝統的な家庭料理をいくつもあげ各家独特の味を持っていた。
元熊本県立大学講師
鶴 田 英 子
 現在では「おふくろの味」が店頭で売られ、それを多くの人が買い求めているが、それは各家庭にその家庭独特の味がないからでもある。「おふくろの味」は金銭では買うことのできないもので、心を込め、手間暇かけて作る、その積み重ねであり、同じ材料を使って教えてもらったとおりに作っても同じ味にはできるものではないし、どんなに食べ続けても食べ飽きないものである。 
今、自分の家族や子どもたちに、我が家の「おふくろの味」はと尋ねてみたらどんな答えが返ってくるのだろうか。親の調理をする姿を見、「おふくろの味」を持っている子は料理も上手に作ることができるし、食べることも規則正しく、欠食することもない。
 戦後50年間、現在のような食環境を作ってきたのは大人であり親たちである。不健康になるように崩してしまった現在の食生活、その最も大きな影響を受けているのが今育っている子どもたちである。現在の食生活を早急に見直さなければ、この不健康を改善することば困難であり、適正な食生活なくしては、医療、教育、しつけだけでは子どもを人間として健康に育てることは不可能ではないだろうか。
 子どもの食習慣は、幼児期に基礎づくり、そして学童期が完成期、思春期が自立期と言われている。これからの次代を担う大切な子どもたちが、人間らしく、心身ともに健康に生きるためには、幼少時より望ましい生活習慣、食習慣を身につけさせる必要があり、そのためには家庭や学校、地域が一丸となり子どもたちを育成していく必要があると思う。