ふれあい体験を通して育む「思いやり」の心
 〜総合単元的な道徳学習の実践から〜

         城南町立豊田小学校 教諭 太田真由美

 ここ数年,学級経営の中に「総合単元的な道徳学習」を取り入れて,「心の教育」の充実を図っています。ささやかな実践ですが,ここでは,二年前に前任校で取り組んだ,「思いやりの心」を育てる総合単元的な道徳学習について紹介します。


一 国語の「手と心を読む」からスタート
 四年生の国語の「手と心で読む」という説明文の中で,筆者の「点字の理解を通して,文字のすばらしさと障害のある人々をもっと理解してほしい」というメッセージを読みとる学習を行った。
 当時,私の学級には視覚障害のある両親をもつたけし君(仮名)がいた。また,障害児が通う「なかよし学級」があったが,その中で重い障害があり,車椅子で生活する美希さん(仮名)がいて,その従姉の亜希子さん(仮名)も私の学級に在籍していた。障害のある身近な人々とのふれあいや具体的な体験活動を通して,真の意味の「思いやりの心」を育てるために,また,以前から,たけしくんや亜希子さんが元気づくような取組みや「なかよし学級」との交流教育を進めたいと考えていたので,総合単元的な道徳学習として以下のような取組みを行った。

二 身近な障害のある人とのふれあいや体験活動の実践

(1)ブラインドウォークの体験・・・アイマスクをつけて,視覚障害の人の疑似体験をすることによって,視覚障害のある人の大変さや気持ちを考えさせた。

(2)車椅子の体験・・・市の社会福祉協議会の方とのTTで,車椅子の体験を通して,車椅子を使う人の気持ちや大変さを理解した。 これは,なかよし学級の児童と共に活動した。

(3)たけし君のお母さんとのTTによる道徳の時間や交流・・・福祉読本「ふれあい」の中の「白い杖」の資料を用いての授業の中で,たけし君のお母さんに,直接,目の不自由な人の思いや願いを話していただいた。 その後,給食や休み時間も共に過ごし,点字に触れたり,盲導犬への接し方を学んだりして,障害のある人への理解と交流を深めた。
(4)なかよし学級と本学級との「ふれあい会」での交流・・・お互いに歌や群読を発表しあったり,じゃんけん列車などのゲームで楽しいひとときを共に分かち合った。

 この取組みは,家庭へも通信等で知らせ,保護者からの感想がいくつも寄せられた。
 また,本実践を,学年集会さらに全校での人権集会へと展開させていった。

 児童は,実際に身近な障害のある人と接したり,体験活動を通したりする中で,だれに対しても思いやりの気持ちを持ち,相手の立場に立って行動しようとする心情を持つことができるようになったと感じられた。また,本実践後,たけし君のお母さんが,「たけしが本当に変わりました。 明るくなって,積極的になりました。」とおっしゃってくださった。さらに,亜希子さんも,堂々と美希さんのことを語り,友達を誘ってなかよし学級に遊びに行くようになったことも大きな成果である。そして,今でも,たけし君や美希きん達のお母さん方とおつき合いさせていただいている私自身がこの実践を通して,ノーマライゼーションへの認識を深めることができたように思う。